今回は,感覚器官について扱います。
本記事は,中学校で勤務している管理人が実際に実施した授業をもとに作成しております。
特に,①実際の授業の流れ,②生徒の反応や生徒からの質問について,③知っておくと良い豆知識,について紹介します。
感覚器官とは
感覚器官とは,「刺激を受け取る器官」のことです。
ここでの「刺激」は,「外からの変化」のことを意味します。言い換えると,自分の体の外側にある何らかの自然の事物・現象が身体に影響を受ける,ということです。例えば,光,音,温度変化,圧力などが挙げれらます。
なお,「器官」については,別の記事を参照してください。
実際の授業の流れ
本授業の目標:目のつくりについて理解する。
なお,本授業は,小単元「刺激と反応」の最初の授業に位置づいています。
導入
感覚器官と刺激の意味を説明する。
その後,五感の具体を生徒に考えさせる。(五感=視覚,味覚,嗅覚,聴覚,触覚)
次に,五感,感覚器官,刺激のそれぞれの対応関係を考えさせる。
本授業では,特に「目」について学ぶことを説明する。
展開1
目のイラストを配布。それぞれの組織について説明する。
- 角膜
- ひとみ
- 虹彩
- 水晶体
- 網膜
- 視神経
- 盲点(余裕があれば)

角膜は,①水晶体とともにピント調節をする役割,②目の組織を守る役割を持っている。
水晶体は,ピント調節をする役割を持っている。凸レンズである。これまでの授業でイカの目を解剖していたら,そのことにも触れると関連づけられやすい。
網膜は,スクリーンの役割を持っている。中1の光の実験を想起させると良い。ちなみに,格闘技が好きな生徒がいるのであれば,「網膜剥離」などの言葉と関連づけて説明しても良い(つまり,「網膜=スクリーン」が「剥離」してしまう症状)。
視神経は,網膜上の情報を脳へと伝達する役割を持っている。
ひとみの大きさが明るさによって変わることを手鏡で確認する。(意外と簡単に大きさの違いを確認できる。鏡を見たまま,部屋の電気を付けたり消したりしてみる。)
展開2
近視について説明する。
この際,簡易的な作図でイメージさせる。なお,中1の光の実験では,スクリーンを実際に動かしてみて綺麗に実像が映るポイントを調べさせることが多いので,その実験を想起させると良い。

ここまでやれば授業時間は50分ほど。
まとめ
時間に余裕があれば,盲点について紹介する。
盲点は,視神経が集まっているところであり,スクリーンの役割を持つ網膜上に光が集まるわけではない。
(実験)2点を10センチぐらいあけてみると,よく現象を体験することができる。
生徒の反応や生徒からの質問について
ひとみの大きさが変わる実験は反応が良かった。
また,盲点の実験も授業後に試している生徒が多数いて,なかなか教室に戻らず,私自身少々焦ってしまった。それぐらい関心を持っていたということか。
他には,視力の悪い生徒が多かったからか,視力関係の質問が多かった。例えば,遠視の原理。近視の原理について説明しておけばある程度推測することができるはずなので考えさせても良い。
ちなみに,レーシックについて聞かれたが自分自身もよくわかっていなかったので,適当に答えてしまった。反省。(どうやら角膜を調整するらしい。詳細はまた調べてもらえるといいかと思います。)
知っておくと良い豆知識
中1の光の実験について,スクリーンに実像が綺麗に写っている場合とそうでない場合の経験があると,近視の現象について理解しやすい。
中2でイカの解剖を実施している場合,イカの眼の水晶体を観察させる際に,①硬いが弾力があること。これでピントを合わせていることに触れる。②実際に文字の上におき,文字が拡大されることを確認し,凸レンズ(虫眼鏡と同じ)であることを説明すると良い。
眼鏡やコンタクトレンズが凹レンズであること。凹レンズが光を拡散する役割を持っているため,水晶体や角膜が機能しなくても補助する役割を持っていることに触れる。
他にも「ひとみ」について。「ひとみを閉じる」という表現があるが,科学的には正しくはない。瞳ではなく,まぶたが閉じるはず。話してみると意外と受けると思っているが試していないので不明。
あとは,レーシックについて。
おわりに
感覚器官である「目」は,自分自身の体のことを知る上でも重要である。興味を持って聞いてくれる生徒が多かったが,これは,他の理科の内容に比べても生徒にとってレリバンスのある内容だからだと推察できる。
実際に授業をする際には,学校や生徒の実態,そして教科や科目を意識して行ってみてください。
また,NHKの動物の感覚器官の動画が参考になりますのでぜひ。
参考文献
レーシックとは?手術の流れや費用を解説 | 【先進会眼科 東京 名古屋 大阪 福岡】ICL・レーシック治療で視力回復(accessed 2025/03/09)
動物の感覚器官 | NHK for School(accessed 2025/03/09)